この10月改編で話題になっている各局バラエティ同士による「日7」の争いは、久々にテレビの活気を思い出させてくれるものだ。そしてその「第1ラウンド」(10月16日)の結果は、『DASH×イッテQ!交換留学2時間SP』(日本テレビ系)が視聴率20.5%で他を引き離し、人気番組の貫録を見せたかたちになった。 この争いはまだ始まったばかりだが、名だたるお笑い芸人が鎬を削るなかで、その中心がTOKIOの番組であることは、ジャニーズとテレビの関係の歴史を改めて感じさせるものがある。
それまで深夜帯での放送だった『ザ・鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)が現在の日曜夜7時台の放送になったのが、1998年4月のこと。それ以来、「DASH村」や「DASH島」など、本格的なDIYの楽しさが詰まった人気企画を続々と生み出し、あらゆる世代に支持されてきた。
当初は、真剣に農業や物づくりに取り組むなどジャニーズのイメージを覆すような斬新な企画だったが、TOKIOがこうした分野を切り開いたことにより、後輩グループが様々なことにチャレンジする番組も増えた。とりわけ、嵐の『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)やNEWSの『変ラボ』(日本テレビ系)など同じ日本テレビで現在放送中の番組にはそんな印象が強い。
そうしたこともあり、最近は「TOKIO=ジャニーズの兄貴分」的ポジションも確立されている。グループのなかでは一番年下の弟的存在の長瀬智也も、ソロで他の後輩グループの番組に出演すれば、いまや兄貴キャラだ。『2時間SP』での作業中、NEWS・手越祐也から「何やったらいいのか教えてください」と聞かれ、「仕事は自分で探すもの」と答えたTOKIO・山口達也からも、そんな兄貴感が漂っていた。
山口、そして主演の新ドラマ『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)も始まった松岡昌弘が典型的な「頼れる兄貴」キャラだとすれば、リーダー・城島茂は最年長ながら「頼りない兄貴」キャラで際立っている。同じ『2時間SP』でも『イッテQ!』の人気コーナー『Qtube』に参加し、「デンキナマズを素手で引っ越しさせる」など出川哲朗やロッチ・中岡創一といった錚々たるメンバーに交じってプロも顔負けのリアクションを披露していた。
そんな場に入っても違和感を抱かせない城島の魅力は、彼が関西出身であることもあるだろう。その飄々とした関西弁にはなんとも言えない味がある。 その城島のいるTOKIO、岡田准一のいるV6、そしてKinKi Kidsと関西出身者のいるジャニーズ所属の3グループによって1997年に結成されたのが「J-FRIENDS」である。1995年に発生した阪神・淡路大震災へのチャリティ活動を目的としたものであった。発売したシングルもミリオンセラーとなり、マイケル・ジャクソンが楽曲提供するなど、ジャニーズの歴史に確かな足跡を残した。
「J-FRIENDS」は2003年までの期間限定ユニットだったため、いまはもうない。しかし、デビュー当初から息の長い活躍を続け、さらに現在も活動の幅を広げているこの3グループの存在は、ジャニーズのいまを築くうえで大きなものだった。
V6も、昨年デビュー20周年を迎えたあたりから、再びグループ、ソロ両方の活動に勢いが増している。『NHK紅白歌合戦』には一昨年の初出場から2年連続出場、『あさイチ』(NHK)などでのMCの評価も高い井ノ原快彦は、昨年初の白組司会にもなった。他のメンバーも、映画、テレビ、舞台などさまざまなジャンルで、これまでの実績や得意分野を生かし順調な活動ぶりだ。
そのなかで今回特筆したいのは、今年の9月に放送された『みんなで応援!リオパラリンピック』(NHK Eテレ)に出演した三宅健である。これまで同じEテレの『みんなの手話』でナビゲーターとして培った経験を生かし、リオパラリンピックの日本代表選手の競技結果などを伝える番組のメインパーソナリティとなった。障害のある人もない人も一緒に楽しめる「ユニバーサル放送」として、NHKのパラリンピック番組史上初の手話を使うキャスターである。
『あさイチ』での井ノ原もそうだが、アイドルが芸能の分野を超えて社会と接点を持った仕事をすることも増えた。 そうしたとき、井ノ原にしても、今回の三宅にしても、真っすぐな熱い部分を根本に持ちながら、変に構えることなくいつも同じスタンスで物事に取り組んでいる様子がうかがえる。今回のパラリンピック番組は、最近のスポーツ番組にありがちなように過剰に「感動」を強調することもなく、自然に競技を楽しみ、なおかつ日本選手を応援できるものになっていたが、そうした雰囲気づくりにキャスターである三宅の果たした役割は大きかった。そしてそこには、さかのぼってみれば「J-FRIENDS」の精神に通じるものがあるのではあるまいか。
「J-FRIENDS」のメンバーだった残りの一組、KinKi Kidsは、今年デビュー20年目を迎えた。この9月からはそれを記念しての全国ツアー中、その初日には年末・年始のドーム公演も発表された。テレビ各局で恒例となった大型音楽特番への出演も活発だ。いまだ正式出場のない『NHK紅白歌合戦』への初出場の可能性もあるだろう。
ただ、そうした大きな節目の年を迎えても、二人はいたってマイペースに見える。そこがいかにも彼ららしくもある。もちろん、堂本光一はミュージカル俳優、堂本剛はミュージシャンとしてソロでも精力的に活動するプロのエンターテイナーではあるのだが、同時に仕事仲間、友人、家族でもあるような互いの「相方」として存在している。そこに私たちは、ほかのジャニーズグループにはないなにかを感じ取っているのだろう。 それを生み出すうえで、関西出身者ならではの掛け合いの間やリズムの果たす部分は大きいはずだ。だから二人が会話をしだすと、それだけで他の人間には入り込む隙のないように思わせる空気感が生まれる。
2014年10月に始まった彼らの冠番組『KinKi Kidsのブンブブーン』(フジテレビ系)も開始からちょうど2年を迎え、番組としても安定している。そこでも、時おり二人の関係性がふと顔をのぞかせる場面があるのが面白い。
たとえば、10月23日放送の夏木マリがゲストの回でも、二人でペアを組んでヨガをやることになり、イチャついているような、はたまたコントのような“二人だけの世界”になった。それでもポーズは無事に完成、最後は堂本剛が「次のジャケットこれで決まりやな」とKinKi Kidsらしくオチをつけて終わった。 かつて「J-FRIENDS」としてともに活動したTOKIO、V6、KinKi Kidsの3組。彼らは、多彩な分野でのジャニーズの活躍の一翼を担う一方で、それぞれ他のグループにはない個性で衰えぬ存在感を発揮していると言えるだろう。
Toki-kin急行 好きだよ!好きやねん 復活して欲しいですよ。出来ればV6も加えて。
情報源: TOKIO、V6、KinKi Kids……今なお存在感示す「J-FRIENDS」組の軌跡 (リアルサウンド) – Yahoo!ニュース