映画『しゃべれども しゃべれども』試写レビュー

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            ※ネタバレ注意※
そろそろ公開も間近となりました!
ただいま、空前の落語ブームということで・・・凧
TOKIOが落語家を演じるのは、虎児、三平と今回の三つ葉で3人目。
これだけを取ってみても落語がハンパなブームじゃないことぐらい容易に分かるというものびっくり
加えてTV界はテレビジョンこれまた国分太一ブームと呼んでも過言ではないほど、レギュラー&CMと彼が出て来ない曜日はないほどカレンダー
するってぇと、何かい?
太一くんには、今まさに”波が来てる水泳”。
そう言うことになるってことかい?
はてさて、”まくら”はこの辺にして本題と参りましょうか。


まず、原作本がベストセラーということは、映像化する場合(どんな作品であっても)兎角やっかいなもんです。
読者の頭ん中で勝手に膨張した”イメージ”という千差万別で実体のない「理想」に、キャストは挑んでいかにゃならないわけですからね、自由が利きません。
あたしの周りをちょいと見回してみたって、数人がこの小説を読んでるときたもんで「三つ葉はこんな”しと”にやってもらいてぇ」だの、「男っぷりのいい三つ葉を太一くんが演じられんのか」だのと、くちばしをとんがらがす始末です。
しかし、あたしは声を大にして言わせてもらいやすよ。
この映画での国分太一は素晴らしい!
そして、男前なんです。
香里奈ちゃん演じる十河に何気なく掛ける言葉の繰り出し方は、いかにも粋で、言葉遣いは決して優しくはないんですけど、逆にそんなところは素顔の太一くんに通じるものがあるし、着物も実は余り似合っているとは思えないんだけど(笑)、不思議と最後にはしっくりきてるんだから、おったまげます。
何より素晴らしいのは、三つ葉が”話し方”を教えながら、自らが成長していくところ。その段階を非常に丁寧に変化をつけながら太一くんは演じ分けています。その目を見張る演技は、この映画に最もふさわしい「高座」という場所で如実に発揮されます。
二つ目から真打ちに昇進できないまま停滞している今昔亭三つ葉は、完全にスランプ状態。もはや、なぜ噺が上手くしゃべれないのか自己分析さえ出来なくなっているんです。ろくにしゃべれもしないのに、師匠の小三文には「新しい噺を教えろ」、「どこが悪いのか教えてくれ」と自己主張ばかりします。自分の力で原因を見つけさせる為に、師匠は三つ葉には何もアドバイスはしません。これは、マニュアル社会に生きる若者像とどこか重なりますよね。
そして、三つ葉の下にコミュニケーション下手な十河(香里奈ちゃん)、大阪から引っ越してきて、関西弁丸出しな為にいじめられている小学生の村林(森永悠希くん)、野球解説者なのに説明下手という致命的な欠点がある湯河原(松重豊さん)が話し方を習いに通って来ます。
この3人には「上手にしゃべれるようになる」ことを乗り越えた上で、人生上でのもっと大きな目標があるんです。それは教える側の三つ葉も同じことなのですが、いかんせん彼は自分でそれに気づいていない。気づかせてくれたのは”弟子”である3人なんですね。
仏頂面の香里奈ちゃんや松重さんは、もちろん役にピッタリなのですが、何より映画を盛り上げてくれるのは村林役の森永悠希くんと、三つ葉のおばあちゃん役の八千草薫さんです。
森永悠希くんは、この映画のオーディションの為に「饅頭こわい」を全部覚えてきたというエピソードもあるぐらい、とにかくヤル気がスクリーンにみなぎっています。何より彼はかわいらしくて、キャラが立っていますので必見です!!表情が豊かなので、彼が泣いたり笑ったりするだけで、つられてしまうんです。
一方の八千草薫さんは、持ち前の飄々としたムードと、何とも言えない温かく包み込むような存在感なのに、映画をピリッと引き締めてくれています。
そして、見所は何と言っても太一くんの落語。
ラストで見せる「火焔太鼓」には背筋がゾクゾクっとしますよ!
思わず、普通に寄席に行っているような感覚で噺にのめり込んでしまいますから。やってくれたね、国分太一!!
派手な演出やドキドキするような展開は全くありませんが、たまにはほんのりハートが温かくなって、少しだけ前向きな気分にさせてくれる映画もいいもんだなぁ~と思いました。最後に流れるゆずのテーマソングが隅田川の景色とシンクロする感じもいいですよ。
何しろ、あたしが試写を見たのは昨年の秋だったんですけどね(笑)、しっかり心に刻まれているようで、今だに内容忘れてないぐらいですから、改めて意識はせずともそれなりに良かったと体が判断しているようです。
落語好きな健ちゃんにもお勧めしたい映画ですね。
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