映画「BECK」レビュー

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いやぁ~、何度も書いておりますが、「BECK」の映画化が決まった時から公開を心待ちにしていたんです。原作ファンかって?い~え、コミックは1冊も読んでおりません(笑)。もう、キャストですよ、キャスト!今をときめくイケメンが4~5人集まったら、もう黙っちゃいられん性分なんです。
しかも、バンドストーリー!
しかも、堤幸彦監督!
楽しみにしないでいられる方がどうかしてますよ。
で、初めて映画雑誌で劇中写真を見たときに、原作の同シーンと並べて掲載されていて、その激似っぷりにそっくり返るほど驚き、一気に期待が高まったんです。その直後に「BANDAGE」でバンド映画に軽く裏切られたので(笑)、ことさら「BECK」への思いが募ったのでした。
でも、これだけ楽しみにしちゃうとね、ヤバイんですよ。ガックリさせられることも多いんで。
BUT!、BECKは見事に応えてくれましたよー!!
では、こっからはネタバレになるので、たたみます。
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   ※ ネ タ バ レ 注 意 ※
まず、オープニングがレッチリ、エンディングがオアシスってのにドン引きしていたんですが(笑)、結果的には分かりやすくて良かったのかもね。そんなに気にはなりませんでした。ってか、むしろエンディングでは諸手を挙げて合唱したくなっちゃった(テヘッ)。
見終わった後で入場時に宣伝用の小冊子(コミックのダイジェスト)をもらっていたのを思い出して、電車の中で見てビックラこいた。だって、映画のまんまだったんですもの。あの、演奏時に無音になって想像力を掻き立てられるシーンも、映像で「サウンド」を表現している特徴的なビジュアルも、竜介の下宿先の釣り堀も、忽那ちゃんのルックスも、みーんな一緒だった!!
堤ワールドの賜物なのかと思いきや、コミックを忠実に表現していたんだねぇ。するってぇと、あのマンガってタダもんじゃない。近頃のコミックってスゲェんだなーと改めて実感しました。
まず、サウンドがすごく自分に合っていたので、もんすごいシンパシーを感じました。使ってるギターもいいし、コユキにギターを教える斉藤さんの存在もこれまた良い。斉藤さんが立て続けにギターを持ちかえてコユキに聞かせるシーンでは、持ったギターに合ったサウンドを奏でるんだよね。それがニクイし、やっぱり音楽好きな堤さんらしいなーって思いました。
ストーリーは多少無理があるとはいえ、重箱の隅をつつくよりもライブシーンの高揚感の方が上回っていて、何度リズムを体で刻みそうになったか!しかし、あの2時間半に及ぶ映画はすべてラストのライブシーンの為の長い前フリだと言っても過言ではないかもしれないな。
水嶋ヒロくんのギターは、さすがに”天才ギタリスト”の域には及んでいなかったものの、だから何よ!って感じ(笑)。あれだけできたら充分でございますよ。ただ、彼の場合、スクリーン上では圧倒的に美しく存在感があるのに、ちょっと演技がびみょ~なんだよな。それだけが、とても惜しいです。
・・・と、批評するのが果たして正しいのかどうか??
別の言い方をしますとですね、佐藤健くんのお芝居が良すぎるんですよ。
映画見る前から、それぞれのキャラは大体理解していたんですけど、コユキって人生の目的を見失って、学校ではいじめられてもいるようなこわっぱなんですけど、佐藤健くんのキリっと眼力のある顔つきを見る限り、とてもそんな役には合っていないと思ってたわけですよ。むしろ中村蒼くんがコユキに近いのではないかと。しかし、そんな先入観持って映画に臨んだ私を許しておくれね、健くん!あなたは、見事にこわっぱでした。そして、バンドの中でも恋愛においても少々奥手ながら、でも主張するとこはするし、何となく自分に自信を持っているんだよねーコユキは。そんなキャラがピッタリはまってました。とにかく、BECKの佐藤健はイイです!イチオシです!!
天性のヴォーカルってやつを、是非聴いてみたかったけど、これは原作に敬意を表して頭の中でイメージするとします。
そして、桐谷健太。
彼も絶対に期待を裏切らない役者の一人になりましたね。もう、こうなるとマルチじゃないですか、彼も。だって、何でもできちゃうんだもん。途中、高橋努くんが出てきて牧瀬と時生みたいになるけど(おまけに殴り合い・笑)、フェスでの「EVOLUTION」は鳥肌モノだった。オバちゃん、涙出ちゃったもん。
忽那汐里ちゃんも、初めて彼女の演技を見たこともあってか真帆にしか見えない。すごいチャーミングだし、英語が余りにも上手でビックリしてたら、プロフィールにシドニー出身とあってー、あー、どうりでねと(笑)、上手なんて言ったら失礼なレベルでした。
水嶋ヒロくんの英語も新鮮でしたね。彼自身、これまでも英語を話すことに躊躇があったらしいんですが、やっぱ危なげは全くなし。しかも、彼は普段ヨーロッパ英語なんだと思うんですよね。でも、映画ではニューヨーカーらしい発音で、ちゃんと役を”演じて”ました。
向井くん演じる平はクールなんですけど、意外に情に厚く俯瞰でバンドを見れる貴重な存在。なんだか向井くん自身と重なる部分も多くて、キャストは本当に適材適所だったと思いました。
とにかく、バンドにフォーカスされているので「ロッカーズ」以来の楽しさだったな。ライブシーンに関して言えば「BECK」の方が断然上ですけど。一年募らせていた期待を全く裏切らない内容でした。まぁ、意地悪な言い方をすれば、期待は裏切らなかったけど、上回りもしなかったかな。でも、バンドストーリーはこれでいいんですよ。みんなで夢を見て、ライバルに先を越されて、徐々にスターダムを駆け登り始めた時にビッグチャンスが転がり込んで、でも土壇場で邪魔が入って、結果ハッピーエンド!このシンプルさ、爽快さ、ドキドキするモーメントがたまらないんです(←最後の表現が小林武×のように安っぽくなりましたが)。
非常にキャラクターを丁寧に描いているし、時間経過が重要視されているが為に、やや長めの上映ですが、それはひとえにラストのライブシーンの為にあるので、そこで一気にチャラになります。
野球少年に「ROOKIES」があるように、シンクロ目指す少年たちに「ウォーターボーイズ」があるように(←こっちは、そんなにいねぇか)、音楽を目指す全ての若者に、夏の終わりにこの青臭い映画を是非見て欲しい。そして、キラキラ男子が好きな女子たちにはバンドの話自体は退屈かもしれないけど、ビジュアルがそれを補ってくれるので、やはり是非とも見て欲しい。
私も全国公開されたら、また見に行きます!