キャスティングと音楽について加筆しました!
岡田将生くんもビックリの大抜擢・初の教師役という事で、「告白」は絶対に見ようと当初から決めていたのですが、純粋にすごく楽しめた映画でした。
すごい良かったです。
原作は読んでません。
なので、原作と同じストーリーなのかは分かりませんが、つくづくよく出来た映画だったなぁと。
全般的に言うと、アニメを見てるみたいでした。
ストーリーに反して、ある意味非常に無機質な描き方でした。
その点までもが、原作に忠実なのかもしれませんが。
小説が原作なだけに、また、それぞれのキャラクターの「告白」がベースであるので、展開が立体的じゃないというか、すごくフラットというか、薄平べったい感じがして、映像も漫画本をめくる様な感じで、スーパースローモーションを駆使してたり、モノトーン基調だったり、ざらつき加工されてたり、音声も漫画の噴出しを黙読している様な気になってくる等、非常に斬新だなぁって。
でも、こういう手法は”初めて見る!”、”すごい!”って驚く感じではなく、マーティン・スコーセッシやコッポラ、洋楽のPVなんかの焼き直しでもあり、先人達が今の技術がない頃に手作りで挑んだ手法の機械版に過ぎないとは思いましたが・・・。
とにかく、冒頭はややウザイと
感じるくらいこれが繰り返し駆使されていて、でも今思えばこの映像のマスタベーションこそが、見る者を駆り立て、”ストーリーの続きを早く知りたい!”と映画に食いつかせる効果があるのかもしれません。
また、原作を読んだ人がすごく残酷で怖いって言っていたので、「バトル・ロワイヤル」みないなのかと予想していたのですが、そこまでブラディーではなかったです。
まぁ、スプラットはありますが。
私が一番解せなかったのは、時代背景がいつなのか記憶になかったのですが、もしいまどきの中学生だとして、彼らがHIVやAIDSについて、はたしてあれほどの知識があるのかな?という、まぁどうでもいいっちゃどうでもいい点でした。
でも、生徒みんながその知識を持っているという事が、この映画のストーリーを大きく動かす訳ですから、ある意味最も重要であるとは思いますが・・・・。
この映画を見て、煮え切らないという意見が多いようですが、私は後味が悪い気はしませんでした。
こーすれば、あーなるのよ。という、罪と罰がタイムラグなく、分かりやすくほぼ連続して起こるので、やっちゃいけない事はやっちゃいけない、という肝心要のメッセージは若い人たちにもきちんと伝わると思ったからです。
この映画を見て、暴力や流血を美化していると思う人は、きっと「ダンボ」や「ピノキオ」を見てもそう思うんじゃないでしょうか?
分かりませんが・・・・
ただ、全く何の罪も犯していない人が被害者になる、その被害者の遺族が抱く憤り、復讐心、そして制裁を単純に「罪」として加害者の「罪」と同じ土壌で括っていいものか?
頭では理解していても、心が被害者の復讐の味方をしてしまいます。
罪を犯しても、その罰が十分に下されない・・・・
被害者はそもそも何も悪い事をしていないのに・・・・
罪に対して、直接的な罪で応戦したら、どこにでもある話になってしまうのですが、
この映画の森口先生は、復讐をもっと知的で冷静な態度で施行するんです。
直接自分の手を汚さずに。
そこが最大の見せ場であり、物議を醸し出す点なんです。
昔、「アルキメデスは手を汚さない」って本を読んだんですが、そのタイトルがふと浮かびました。内容はよく思い出せなかったんですけど。
「告白」を見て、誰が一番罪深いのだろうと考えたのですが、まだ答えを出せません。
ちなみに岡Dですが、子供達の中にいるせいか、やけに逞しく、男っぽく見えました。
すごく好演していたと思います!!
勿論他のキャスティングも素晴らしかった。
松さんも木村さんもパーフェクトなキャスティングだし、中学生の生徒達もなじみのある子がいなかったのが良かった。
あの中に人気アイドルの子がいたり、CMなどで見た事がある子がいたら、ちょっと興ざめする所でしたが、全く見たことがない子ばかりだった事が映画をリアルにしていたと思います。
Radioheadの音楽も、映画の空気に合っていたと思います。
トム・ヨークの冷却作用のある透き通ったヴォーカルが、冷たい空気の流れる映像にマッチして、レクイエムのような響きを漂わせていました。
この映画を見て、Radioheadイイなぁと思ったら、是非サントラで聞き返してみては?