映画「るろうに剣心」試写レビュー

38

東京国際フォーラム ホールAで行われたプレミア試写会に行って参りました~!

お盆休み期間中ということもあってか、もう、会場着いたらすごい人で・・・。広いホールだし、のんびり出掛けて行ったしで、席の方は期待してなかったんですけど、キャストさんが肉眼でバッチリ拝めるお席で幸せでしたー。「BECK」以来、人生で2度目の佐藤健体験でございましたー。

実はね、リアルの佐藤健くんにはそれほど興味がないんです。
だから、ご本人を前にして、それほど気分が高まるわけでもなかったですけど、まぁ普通に彼はチャーミングだったっす(笑)。

舞台挨拶よりも、どちらかと言うとドデカイ!スクリーンで映画を早く観たかったってのが本音でございまして。佐藤健くんってのは、私の中ではそんな風に不思議な存在ですね。常に気にはなってるんですけど、別に毎作欠かさず見たいとか、番宣番組も総なめして見たいとか、ましてや、会いたいー!!とか、いつも好き~!!ってタイプの俳優さんじゃないんですよね、松ケンや木村了くんとか、岡田将生くんなんかとは違って。だから、迷ったけど舞台も見に行かなかったし・・・(今更オバさんが「ロミオとジュリエット」とか見に行けないっすよー・笑)。おぐりんに似た感情かな(いや、やっぱ違うな。おぐりんには恋できるから・笑)

でも、「るろうに剣心」は映画化が決まった時から絶対見に行こうと思ってました。
佐藤健くんは「龍馬伝」の以蔵役がすごく良かったので、時代劇に不安はなかったし、彼の身体能力を以ってすれば、殺陣やアクションは疑いなく高度だろうし、作品の時代背景的にも興味深かったんで。例によって例のごとく、コミックやアニメなんぞは何ひとつ見たことありませんので、あたくしの戯言レビューなんぞは原作ファンの辛口目線とは随分違った甘甘な内容になっているとは思いますが、予めご了承下さいましね。

  ===== ネタバレ注意 ======

江口洋介さん、吉川晃司さん、香川照之さん、青木崇高さん、綾野剛くん、須藤元気さんetc…と、ひとクセもふたクセもある濃厚な、男臭い(おまけにガタイのいい)役者陣に混じって、主人公の剣心だけが、どうも小さくて、華奢で、どちらかと言えば武井咲ちゃんや蒼井優ちゃん側かい?!って感じだったんですが、それは映画を見るまでの薄っぺらい印象でしかありませんでした。

並みいる”漢(おとこ)”たちの中で、佐藤健くん演じる剣心こそが誰より男っぽく、誰よりも強く、そして確固たる「義」を持った武士の中の武士でした。「殺さず」を義とする剣心と、撃剣士として己の武士道を貫き、警察官として明治の世を生きながらも、揺るぎなくその意気を持ち続ける元新選組の斎藤一とは対照的に描かれています。どちらも根っこの志は同じように思いますが、幕末という激動の時代に”人斬り”の天命を受けて経た、別々の境地なんでしょう。しかし、これは新選組フリークの私に言わせてもらえば、やっぱり剣心はフィクションだからこそ、斎藤とは真逆の思想になるんじゃないですかね。おそらく、剣心が人斬りになった背景など映画で描かれていない部分に「殺さず」の境地に至る理由も深くあると推察致しますが、それも含めて「フィクション」と一蹴してしまうことはできるかな。現実はそんなに甘くねーよ!!なんてね。

まぁ、その武士の”誠”について語ると、映画のレビューとは離れてしまうので、軌道修正しましょうかね(笑)。

「~でござるよ」という優しく柔らかで茶目っ気たっぷりな口調や、飄々とした所も多々ある剣心ですが、戦いの場面では夜叉のごとくスイッチが入るんですね。佐藤健くんのここんとこの演じ分けが超絶見ごたえあるんですよ。ちょっとした視線や表情の変化もさることながら、映画の見せ場となる殺人マシーンのような鵜堂刃衛(吉川晃司さん)との一騎討ちで、怒りが頂点に達した剣心が言い放つ「殺してやるから、かかってこい」(←だったと思う)のセリフ回しなんかは、背中がゾクっとします。

映画見ててゾクっとすることなんて近年余りなかったと思うんですが、思い出せるとしたら、それは奇しくも「BECK」のライブシーンだったかと・・・。

とにかく、オープニングの鳥羽伏見の戦いの場面から、あっという間に、そしてスーッと何とも自然に映画の世界に呑み込まれてしまうんですよ。さすがに大河ドラマを撮った監督だけあります。とは言うものの、やっぱりワーナーが撮った”洋風な”香りもすごくありまして、それは主にアクションとBGMに顕著です。でも、殺陣はさすがにハリウッド映画ではなく日本映画ですから、ヤリ過ぎは禁物(衣装も含め)。この映画はそこの線引きがキッチリ出来ていて、しかもアクション監督は「カムイ外伝」の谷垣さんなので、どことなく香港的な味もあり、アクションだけを切り取ってみたら、グローバルに通用する「イイとこ取り」なまとまり感があるかもしれません。多分、原作に忠実に描いてもいるんだろうし。世界中に殺陣アクションの見本として今後の映画作りに活かして欲しいっすね。

綾野剛くんなんか、無駄にチョロっと出て来て、もん凄いレベルのアクションし倒して消えて行きますからね。綾野ファンの気持ちになってみたら「ファンとしては見逃せないけど、この出番の少なさは厳しい~」って感じ(笑)。でも、ビジュアルも美しいので綾野剛くんファンの皆さん!スクリーンで見た方がいいですよ~!

それにしても、登場人物の名前は、どこか新選組隊士のような名前が多いですよね~。
香川照之さん演じる武田観柳も、新選組五番隊 組頭の武田観柳斎に激似だし、青木崇高さん演じる相楽左之介は原田左之介に音が似ているばかりでなく、装束も長物使いな点も似ています。江口洋介さん演じる斎藤一については、かなり実像に近いのでは?と感じました。でも、江口っちゃんて、いつからこんな孤高のシブキャラ役が多くなったんでしょうね?ご本人はいたって快濶&豪快な御仁ですのに・・・。

で、アクションもさることながらですね、この映画の筆舌し難い推薦ポイントは、何と言っても佐藤健の演技、芝居そのものなんですよ!!これは映画を見て感じて欲しいです。
この映画に関して言えば、作品自体はどこを取ってもマイナス部分は見当たりませんが、かと言って、彼が出てる作品全てが評価できるものばかりではないと思うんです。でも、そんなペケ作品の中でさえも、佐藤健は(というか、彼の芝居は)絶対に裏切らないですね。今まで裏切られたことありません