夢枕獏の人気小説を原作にした単発ドラマ「陰陽師」が13日午後9時から、テレビ朝日系で放送される。
主人公の安倍晴明を市川染五郎、その友人の貴族・源博雅を堂本光一が演じる。ロケの行われた岩手県で意気込みを聞いた。
「陰陽師」は平安時代を舞台にしたホラーファンタジー。すべてを見とおしてしまう天才陰陽師・安倍晴明と、心優しき笛の名手・源博雅が、平安の都で起こる怪事件を解決するというストーリーだ。
これまでも、野村萬斎主演の映画、稲垣吾郎主演の連続ドラマが制作された。2013年には、新開場した歌舞伎座のこけら落とし公演の一環として新作歌舞伎「新作 陰陽師 滝夜叉姫」が上演され、染五郎が晴明を演じた。 伊東仁プロデューサーは、「誰もが知っている『陰陽師』を、もう一回映像化したいと思っていた。前回の映画から10年以上たっており、若い人たちにも見てもらいたい」と企画意図を語る。今回のドラマは、陰陽師シリーズの中から「首」、「首大臣」などの作品を基にしており、白拍子を我がものにしようとした藤原家ゆかりの者が次々と怪死する事件に、晴明と博雅が立ち向かう。
約1か月のドラマの撮影は全編、岩手県奥州市内にある「歴史公園えさし藤原の郷」やその周辺地区で行った。また、晴明が操る呪術のシーンなどで、CG(コンピューターグラフィックス)を100カット以上使用する予定。伊東プロデューサーは「CGの技術は間違いなく上がっているので、これまでとは全然違うものができると思っています」と自信を見せる。
染五郎と堂本はこれが初共演だが、「ひそかなライバル心を抱いたことがある」と染五郎は打ち明ける。
以前、東京・日生劇場での新作歌舞伎に出演中、すぐ近くの帝国劇場で堂本が行っていた座長公演「Endless SHOCK」に「階段落ち」があることを知った。自分も日生劇場での公演で階段落ちに挑戦しようと考え、「あっちの段数を調べて、高さでは負けてもいいから、段数だけは勝ってくれ」と要望したことがあったという。
一方の堂本は、テレビドラマで時代劇に挑戦するのは今回が初めて。「衣装もカツラも慣れず、正直大変ですが、この時代に地上波でこれだけの大作を撮るのは貴重な機会なので、とても楽しみにしていた」と話す。
感情を表に出す博雅は、「『SHOCK』で演じている役とは正反対で、僕にとってはそれ自体が挑戦的。展開を動かす存在でありながら、どこか晴明に頼っている愛らしさを表現できたら」と語る。
「特別な作品だった」という歌舞伎の「陰陽師」に続いて晴明を演じることになり、「これまで幾度も映像化され、様々な方が晴明を演じてこられていますが、夢枕獏さんの原作で書かれた晴明像に限りなく近づけたら」と抱負を語る染五郎。「獏さんは、題材は書ききれないほどあるとおっしゃっていた。そういう世界に再び出会うことができればと思うし、時代劇が盛り上がるための力になれれば」とシリーズ化にも意欲を見せた。
情報源: 市川染五郎版「陰陽師」 : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)