こんパンちわは。(←このバリエーション、バカみたいに毎回やってますが、分からない人には、なんのこっちゃか全く分からないでしょうねぇ・・・、当たり前ですが)
若い頃、太宰治に傾倒していた時期がありましたからね。
それにKinKiさんのドラマ「人間失格」見てから、ほんまもんの「人間失格」がどんなストーリーだったか、すっかり忘れてしまったので、思い出したいことも含め見てみよかなと。
まぁ、正直まったく期待してなかったんですが、これがね、びっくりする位、よかったっす。
今年見た映画の中で一番良かった。
今年見たって言っても、私は今年入って既に数え切れないくらい映画見てますからね。
その中でも一押しがこの作品です。
======= 以下ネタバレ交じり ======
最初はね、青森で始まって、柄本拓くんとのシーンがあって、「あー、こりゃぁ、完全にエモちんに喰われてるわ・・・」なんて思ってたんですよ。ぶっちゃけ。
どうしても、斗真くんにしか見えなくて。
だって、それはそうさ、確かにそうでしょ?
だって、こ~~~んなちっさい時から、斗真くん見てるんだから。
いまさら、斗真くんが葉蔵です。って言われたってねー。なんて風に見ていたんですが・・・
もうね、見終わった時には、全然斗真くんだなんて事忘れてしまってましたよ。
やはり、作品に恵まれたというか、スタッフに恵まれてたというか、彼の潜在的才能をフルに活かしてくれたんでしょうねぇ。
舞台挨拶で、なぜ監督があーも彼を絶賛したのか?
なぜ、女優さんたちもあーも絶賛したのか?
なぜ、斗真くんが感涙したのか?
映画を見れば一目瞭然でした。
すごく難しい役というか、題材だったとは思います。
行間ばかりで、セリフなんて極端に少ないし。
かと言って、表情の変化が多いわけではなく、
じゃあ、ナチュラルに演じられるのかと言えば、当然そんな役ではないので、
ものすごく研究して、この役に挑んだと思いますね。
斗真くんの演技を際立たせる女優さんは皆さん素晴らしかったですし、石橋蓮司さんなんかも素晴らしかったと思いました。もちろん、伊勢谷さんも。
キャスティングが実に良かったです。
とにかく葉蔵という人間は、経済的にも容姿も恵まれていたわりには、コンプレックスの塊で、自分を認めて貰いたい割には最低限の努力しかしない。また結構巧妙で、計算してない風で、全て狡猾に計算している頭の切れる女の敵って印象なわけですよ。
その彼が、享楽主義者である堀木に出会ったことで、どんどん自堕落になっていくわけですよ、道々女を利用しながら。
女の方は女の方で、これまた男を見る目がなく、教育もあまり受けてないような、或いは社会的に立場の弱い女性たちが次々と彼の美貌に溺れ、身を滅ぼしていくという惨めな存在でしかなく・・・・。
とにかくそんな明るい材料のないストーリーをねっちりと感傷的に描くのではなく、この監督はある種逆手を取って、隠喩的・婉曲的かつ芸術的な切り口で見せていくんですよね。
これは新しいな、と感じました。
しかも、映像表現が素晴らしいんですよね。まぁ、私敵に”大げさ”じゃない?って感じた映像もありましたが・・・
うららさんと被る映像以外で私が一番印象に残ったのは、葉蔵の顔をクローズアップした背景に海が流れていく映像。
葉蔵と言う人は社会に適合してなくて、現実を避け続けて生きているような人間であるから、彼の周りの森羅万象は常に動きをもっているのに、彼だけがその動きに沿っていない、止まっている。
そんなメッセージがあるように思えました。
金魚の映像の見せ方もそうでしたが、全て語られない説明は映像が巧みに説明を加えている、ある種ミュートな映画でした。
TVで見ると伝わらない部分が多いと思いますので、是非この機会に映画館に行って見る事を強くお勧めします。
唯一物足りなかったのは、それぞれの女性と適度に肌が触れ合う濡れ場がなかった事。
室井滋さんとのキスシーンがはじめてのラヴシーンというのは少し物足りない感じがしました。
では、また。
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