レチタ・カルダ朗読活劇「6月は真紅の薔薇 沖田総司」

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え~、恥ずかしながら4月の明治座公演も拝見させて頂いたのですが、その時にこのイベントのチラシを頂きましてですね、ずーっと、そんでもって、とっても気になっておりました。

だって、沖田総司ですもの。
早乙女太一くんが!!

「薄桜鬼」で土方歳三を演じた彼が、今度は総司を演じるなんて!新選組フリークの私めが興味を持たないワケがない!でも、季節は梅雨。野外イベントで雨天決行だと、さすがに尻込みしていまい(被ばくも怖いし、雨合羽はうっとーしい)。雨降りしきる中で見るほどでもねーかなって、うだうだしておりまして(笑)。週間天気予報が出て、雨が降らないことが分かったので、急きょチケット取って行って参りました~。

ホントはね、京都公演に行きたかったんですよ。
何せ京都公演の会場は、新選組を預かっていた京都守護職であらせられる会津様の拠点、金戒・光明寺でやるってんですからね!そういや、京都には何度か訪れてはいるものの、光明寺には行ったことがなかったし、行ったならついでに森田剛くんの舞台も見たことなので金閣寺も見てみたかったし(こちらも一度も見たことない)、でもって、現在NHKでオンエア中の「新選組血風録」見てるもんで、新選組の活動後期の屯所である西本願寺にも行ってみたいし・・・、「そうだ!京都行こう」と思ったわけです。でも、やっぱさすがに遠征してまでは・・・と思い直り、ひとまず築地本願寺でやるんだったら、そっちに行っとこ、ということになりました。

でも、行って良かったよ~ん!!

もうね、私の為にあるような内容ですよ。
なので、早乙女ファンにはちと退屈だったと思われ。
何しろ”朗読活劇”ですからね~。
朗読しながら、時折演じる。そして殺陣(←これがなかったら客は納得しない。もちろん私も納得しまへん)。殺陣やりながらも朗読してるわけです。この説明だと多分、想像つかないと思いますが・・・。

太一くんはほぼ普通の出で立ち。洋装と和装の間のような衣装で、髪も彼のオリジナル・ヘイヤー。やっぱ、私は女形の太一くんより、オトコを演じてる太一くんが好きだなぁ~。

いきなり会場内から現れて殺陣のシーンから入り、本願寺の正面入口の大階段をステージに見立てて、そこへと登って行きます。階段の半ば下手側に琴、三味、そしてボーカルの和装の女性アンサンブル、その反対側の上手に机とイスが配置されていて、ここに座って朗読を進めます。ずっと座りっぱなしではないんですが、座っている間は動きがないので、太一くんは右向いたり、左向いたり、時折立ったりと、オールアングルをカバーできるように読むんですね。すごく計算されてましたし、単調になりがちな「朗読劇」なので、階段を下りて客席内を度々巡るサービスも。確かに、この会場だとどこに座っても彼が見えない場面が必ずあるんですよね。例え最前列の方であっても。だから、結果みんな平等に見えない時があるって感じでした。

原作は三好徹氏の著作「6月は真紅の薔薇 沖田総司」で恋愛仕立て。新選組の読み物って星の数ほどありますけど、こと総司をテーマに創作された書籍は、ほのかな恋愛仕立てになる傾向があります。半分フィクション+半分ノンフィクションみたいな。まだ、明るい宵の口から始まって、心地よい風と共に宵闇がやってきて、気付くととっぷり暮れていて・・・そんな雰囲気が、儚くも力強いロマンチシズムの一助となって盛り上げてくれちゃうんですよねぇ。でもって、築地本願寺って行ったことある方はお分りかと思いますが、なかなかにして”ケッタイな”建造物なので、その不思議なムードが相まって、何とも言えない空間となりました。

総司は京に来て”おあい”という女性と出会い、恋におちるわけですが、この彼女が実は労咳病みでして、彼女との逢瀬を重ねる間に総司に病が伝染ってしまうんですね。で、ある時、会津様に呼ばれた近藤勇が土産に珍しい西洋の花、薔薇を貰って帰ってくるのですが、その花が何とも美しかったので総司は、そこに可憐なおあいの姿を投影するんです。そして、無理を言って勇から薔薇の花を貰い受け、おあいの病床に飾ってやるんです。でも、不思議なことに薔薇の花は枯れないんです。

やがて総司も病に臥せってしまうのですが、総司がおあいを見舞ってやれない間は、歳三が密かにおあいを訪れ薔薇の花の水を替えてやるんです。で、総司は自分が小康状態になると真っ先におあいに会いにいくのですが、この頃にはもう新選組はバラバラになってしまっているんです。折角会いに行ったおあいもとうとう果ててしまっていて、総司が亡骸を抱くと彼女の手の中に何かある。握りしめていたそれは薔薇の花の蕾なんです。この花の蕾に総司は、花を譲ってくれた近藤勇や毎日水をくれていた歳三の姿を見るんです。

もうね、あたくしなんぞは、ここで号泣ざますよ。
嗚咽です。

しかもね、朗読劇ですから、たまに出てくる会話劇を太一くんひとりが演じるんですね。必然的に近藤勇や土方歳三も。するってーと、歳三のセリフ回しが”「薄桜鬼」ふたたび”になるんですよ。ここにもプチ感激!

太一くんは、朗読の内容のほとんどが頭に入っているようでしたね。
芝居から朗読に切り替わる時も、スラっと次を読みあげていくんですよ。もちろん、アクションしながら朗読を続けるという技もさらっとやってのける。しかも、噛まないし読み間違えない。まったくもって、早乙女太一という御仁は何をやらせても並大抵のプロフェッショナリズムではありません。天性の才能でしょうね。

ただ、ちょっと残念だったのは、私が見たのが初日だったせいか、音響レベルが定まらない場面がチラホラあったのと、殺陣の効果音が全然出ない場面もあって(無音の殺陣ってのも一興ですが)、クオリティの高い出し物だけにホントにスタッフしっかりしろや!!って感じでした。

カーテンコールの後、本願寺の中にハケていく時に合掌していましたね~。そして、最後の挨拶にひとりで登場した際は、相変わらずのシャイで「あー、えー・・・ありがとうございました!」って一言だけ行って去ったのですが、その逆光に浮き出た後ろ姿のシルエットが、ヤバイぐらいにカッコ良かったです。衣装がヒラヒラと風に舞って・・・「颯爽」という言葉がピッタリですな。

スカパーHDでライブ3D中継されたんですってね~。悔しいなぁ、HD入ってないから。ちょっと見づらい場面もあったので、全貌を見てみたいっす。ちなみにDVDにはなるらしいですけどね。

さて、次に太一くんのお芝居が見れるのは「
髑髏城の七人」かな。
こちらも、めっちゃ楽しみ~!!

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