いろんな映画館に行ってますが、角川シネマ有楽町は初めてだったかも。
本編の感想を書く前に、上映後に行われた舞台挨拶についてブリーフ・コメントしておきまーす。映画に行く前に「王様のブランチ」を見て、おぐりんのヘイヤースタイルが前髪垂れになっていたので、ちっと安心しつつ会場入り~(笑)。やっぱ、ナマ栗はかっこええ&かわいいー。だが、しかし、また和装。って、荒川ん時と同じお召し物?帽子は違うかったけど。
初日って宣伝活動の最終日だからねぇ、疲れ果ててるとこもあるんだろうなと、毎度、なかなかにして”うだうだ”なおぐりんのコメントを多少ジリっとしながら聞いておりました(笑)。上映後の登壇なのでネタバレが多いもんで、以下レビューの中で触れつつ進めたいと思います。
===========※ ネタバレ注意 ※=============
「荒川アンダー ザ ブリッジ」から、「キツツキと雨」を見るまでの間に「麒麟の翼」も見たんですけどね、明らかに「キツツキと雨」がダントツに”映画らしさ”を堪能できて素晴らしかったです!
角川映画というよりアスミック寄りな印象でしたけど、こういう作品こそが映画になるべくしてなったと言える、邦画のあるべき姿だと思いました。サプライズや涙といったアプローチではない方法で胸を打つというか、誰にでも共感できる身近な感情が呼び覚まされる映画でして、岐阜の片田舎で行われている映画のロケーションの話しと、ひと言で言ったらそれまでなんですけど(笑)、脚本、演出、キャスト、映像、音楽、すべてのピースがこの映画の為だけに存在しているので、キチっと画の中に気持ち良く納まっています。至ってシンプルなハメ画ですら、ちゃんと作れていないのが昨今の邦画だったりするので、どこもデコボコせずに完成しているこの映画の価値は非常に高いと言えるのではないでしょうか?
俳優ならば、この作品のオファーが来たら絶対断らないと思うな。だから、あれだけのキャストが揃えられたのでは?とも思いました。とにかくお芝居が素晴らしい。特に役所広司さん演じる克さんは絶妙。おぐりんに絡む平田満さん、嶋田久作さんの薄いんだか濃いんだか分かんない存在感、そして、特筆すべきはちょこっとしか出ないのに強烈なキャラを演じる山崎努さん。大体さぁ、山崎努さんが出てくる”くだり”自体がおかしいでしょーよ?もう。加えて「ゾンビ映画」ってのも、「竹やり隊」とかも、かなり時代錯誤だし。そうそう、実はこの映画って、冷静に考えるとすんごい突拍子もないんですよね(笑)。でも、その中で右往左往する人間たちの関係性とか、温もりがじわじわと伝わってくるのが心地いいんです。描かれている光景はめっちゃジャパニーズなんですけど、世界に通用する共感が得られる映画になってると思います。
「映画」といえば、どちらかといえば時代の先端ですよね?!それを、保守的で封建的な「田舎」で撮影するという不均衡が、不均衡であるが故に面白おかしい物語を生んだりして。でも、時代の先端のはずの映画がゾンビ映画だってのが、一気に不均衡を均衡へと押し上げたりもして。そして、ロケにだんだん巻き込まれていく克さんの人間性には、誰もが強いシンパシーを感じるだろうし、その克さんの背景というか人となりも、説得力のある映像とセリフで丁寧に描かれています。
フィルムコミッションやエキストラ募集で、映画やドラマなどのエキストラとして参加された経験を持つ方も昨今は多くなっていると思うので、きっとこの映画を見たら「あー、そう、そう!」とうなづける場面が多いでしょうね。コミュニティの中には克さんのような地元のリーダーが必ずいますし、こづかれたり罵倒されてるクルーもいますしね(笑)。
舞台挨拶で小栗くんがこの映画の一番好きなシーンとして挙げたのは、克さんがきこり仲間に映画に出た時の話をすると、みんなの好リアクションに克さんがだんだん自慢気になっていくところだそうです。ちなみに役所さんはラストの雨の撮影シーンが一番お気に入りだそうですよ。
私は、個人的にはおぐりんの温泉シーンはもちろん(笑)、克さんと幸一が将棋を指しながら味海苔を食べたり、温泉旅館でそばとあんみつを食べるシーンなんかもすごく好きですけど、やっぱり、幸一を駅まで送る車の中で、克さんが幸一から映画の内容について訊くところが一番好きかなぁ。役所さんがただ相槌を打ってるだけなんですけど、その芝居がスゴイんですよ。単に面白いだけではなく、本当に味があって克彦と幸一の人間性が良く出ているので。
是非、是非、鑑賞をオススメしたい映画です。
DVDになってからでも映画の良し悪しには全く影響しないので、一度は見て頂きたいな。
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