『隠し砦の三悪人』レビュー

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遅ればせながら「隠し砦の三悪人」を観て参りましたグー
映画本編の前に流れる予告篇が、洋画・邦画問わずどれもこれも「なんだかな~困惑」って作品ばかりで、観たいって思わせるタイトルが全くなかったのが気がかりです(笑)。「花より男子F」ですら、ちょっと観るのに気が引ける内容でたらーっ(笑)。実は「クロサギ」も「HERO」も、映画館で予告を見て余りにドン引きした為、ドラマシリーズを見ていたにもかかわらず結局映画は見なかった私ですパー(苦笑)。なんかね、両タイトル共に「お金出せないな~」って気がしちゃったんですよね・・・冷や汗。でも、周りのお客さんも大抵の予告は冷めて見ているのですが、「デトロイト・メタルシティ」の予告ではリアクションが大きかったな~てれちゃう。やっぱり、松ケンは時の人だねグッド
さて、映画の感想ですが・・・、


宣伝でもキャストが言っていたように時代劇の姿を借りた冒険活劇として楽しめましたし、中島かずき脚本は適材適所であったと思います。
ただ、全てにおいて”惜しい”んですよね~。
まず、キャスト。「ロード・オブ・ザ・リングス」や「ハリー・ポッター」のように、大作に使う役者は何の色もついていない新人さんが良かったんじゃないかなと思うんです。ハリウッドが無名のキャストを使うのには多分に製作費の問題もあるんですが、でもそれが功を奏してますよね。ただでもオリジナルにはないキャラが登場するとなれば、黒澤ファンから反感を買うことは必至。これは、どの作品であってもリメイク作品や原作モノであれば当然で避けられないこと。しかも、その新キャラを”ジャニーズ”のマツジュンが演じるってことで、ある種のネガティブな先入観を更に与えてしまうと思うんです。まるで彼ありきで撮っているかのような。長澤まさみちゃんも同様に、”東宝シンデレラ”の呪縛と、テレビで顔を売りすぎてしまっているところが、逆にマイナス材料になってしまっているんじゃないかな~と。ただ、素直にこの作品を見てさえ頂ければ、二人は非常に良く演じていたし、マツジュンの鋭くギラギラとした目付きは作品にぴったりマッチしていたと思うんです。長澤まさみちゃんは体型がやっぱり現代っ子で姫の装束にはさすがに違和感はありましたが、それでも彼女が今まで演じてきた役柄の中では1、2を争えるクオリティだったのではないでしょうか?そういう、見たままの素直なジャッジがしてもらえにくいキャストだということが何とも歯がゆいです。でも、それは企画の段階で分っていたことだと思うので、だったら無名のキャストを主役に立てた方が良かったんじゃないのかな~って思うんですよ。もちろん、その分脇はがっちり豪華なカメオで固めて頂かなくてはなりませんが。
二つ目に惜しいのがCG演出。専門畑の樋口監督ならではのド迫力なCGシーンは見事だったと思います。なのに、細かい部分がなんか安っぽかった。いちいちスクリーンをなでていくアニメーションのような場面転換、刀と刀がぶつかる時の火花、例えこれらがクロサワのオマージュだたおしても、いかんせん”ちゃっちい”。ある意味、ハリウッドが間違って作っちゃった日本の時代劇ってな感覚がありますが、それが狙いだったとしても前者は特に必要なかった。
そして、音響。BGMの大音量は別にいいとしても、その音量と楽曲と場面が必ずしもマッチしていない気がしました。勿体ないことに耳障りが悪かった。それから、山名の追手を逃がさないように姫が馬で追うシーンの、重厚なひづめの音は何か音が場面に合っていなくて浮いていたし、後半にも同じように戦車みたいな音が不快に感じた場面がありました(どこだったか忘れちゃった)。なんか、必要ないところに装飾し過ぎているようなね(全体的に)。普通に編集してくれさえすれば、普通に楽しく見られた作品なのに、極端な言い方すると何か台無しにされたような気がして・・・。
最後はラストシーン。もっと、感動的にはできなかったのかな~。
民との再会も、その直前の説明めいた馬上でのセリフがあったが為になんか薄っぺらくなってしまったし、武蔵の去り方ももう少しドラマチックにできただろうに。人物の感情の動きとか、特に姫については、もっと深く感情を掘り起こす時間なり、イベントなりが必要だったようにも思えます。
そして、どうせリボーン作品と謳うなら、いじりついでに一つでいいから何かメッセージを残して欲しかったです。
友情とか、忠義とか、愛とか、すべての描写が中途半端なままだったので、現代人にも通ずる教訓とまではいかないものの、何かハートに響いてくる言葉なり人生観みたいなメッセージが伝わると良かったかな。樋口監督の作品って、いつもそこが弱いような気がするんですよね。「あずみ」もそうでしたが、やたら血みどろなところも「男性的」だし。それがクロサワをなぞっているのだとしたら致し方ありませんが。身分の違う姫と武蔵がちょっとイイ感じになったりするクダリは「タイタニック」を思わせて、ストーリーの中では清涼剤にはなっていたと思いますが、そこまでしたなら、ラストシーンでも武蔵との別れももう少しグッとくる演出をして欲しかったな。
一見の価値はある映画作品だと思いますし、様々な呪縛を解き放って見て頂ければ滅法楽しい映画だと思いますよ。
こうした、ジャンルを固定しない娯楽作品こそが「映画」である必要があるんじゃないかな~と思います。