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 ※ネタバレ満載※
 映画をこれから見ようと思っている方は見終わってから読んで下さいね 

木更津キャッツアイ ワールドシリーズ 試写レビュー

by ミリオンダラ子  更新日2006年9月7日
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私も今度こそちゃんと「ばいばい」言います・・・今までありがとう、ぶっさん!
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各種メディアでは日本シリーズの時と同様に、そしてワールドシリーズに於いてはストーリーの内容とは裏腹に、お祭り騒ぎのようにこぞって取り上げられていますが、この祭りの後ってのが何とも虚しくてですね、私が試写を見たのは7月の始めだったんですが、見た直後は本当にキャッツが終わってしまったんだという虚無感と、なぜか達成感のような“やり遂げた感”とが複雑に入り混じって、暫くは燃え尽き症候群のようになってしまいました。何より心に確かな影を落としたのは、ぶっさんがとうとう死んでしまったという現実。見終えて1週間ぐらいは、バラエティ番組などで岡田くんの顔を見るたびに涙がこみ上げてきそうになりました(笑)。他のキャッツメンの誰を見てもこんな気持ちにはならないんですけど、私にとって岡田准一くんを良く知ることになったきっかけが、この「木更津キャッツアイ」なので、どうしても今でも「ぶっさん」のままなんです。そう、大方のキャッツフリークがみんなそうであるのと同じように・・・。でも、翔くんを見ても、塚本くんを他の作品やテレビで見ても、バンビだ、アニだとはいちいち思わないんですよね。これは、やっぱり、佐藤隆太くんも含め、彼らは役どころが比較的本人の人物像に近いからなのかもしれません。それに引き換え、ぶっさんとうっちーは余りにも違い過ぎるので、今でもぶっさんとうっちーのままなのかも。

公開前なので映画の細部を列記するのは避けておこうと思います。爆笑ネタやツボシーン、セリフなどは追い追い公開されてからブログの方で小出しに書いて行こうかなって思ってます。ここで、改めて最終通告ですが、このレビューでは詳細について触れないと書いてはおりますが、やはりネタバレはたくさん含まれているので、映画を見ようと思っている方は自分の目でご覧になるまでは決してこのレビューは読まないで下さい。せっかくなので思いっきり純粋に楽しんでもらいたいし、本当に木更津キャッツアイはこれで「最後」ですから、こんなに楽しくて切なくて愛しい思いは二度とできないんですよ。なので、是非映画を観た後で、もう一度ここに戻ってきて下さいね。

ぶっさんに泣かされた、と言えども、実は本当に私が一番グッときたシーンは、最後キャッツスタジアムで4人がぶっさんに向かって「ばいばい」と一人づつ告げる名場面です。具体的にぶっさんが死ぬシーンも、もちろんそれはそれで普通に悲しいし、特に公助がこれまたたまらなく泣かせるわけですが、素直に感動できる反面やっぱり直接的過ぎてショックの方が大きいんです。でも、野球場でみんなが“ばいばい”を言う顔が涙目で、実にキャッツらしい別れでもあり、胸にジーンと深く滲みるんです。その前のセリフでアニが「ぶっさんそろそろ帰ってくんねぇ?」って言うのですが、これもぶっさんに促されて言うんですよ。で、ばいばいした次の瞬間"Moonlight Lovers"が流れてしゃくりあげたいぐらい泣ける・・・本当に声上げて泣きたいくらいでした。その後、ぶっさんがミットを構え、バンビがマウンドに立ち、この時の両者の顔、本当にいい表情してます。

キャッツメンたちが最後にぶっさんに会った時の回想シーンは、一人一人時間軸に沿って順に回想されていきます。どれも、ぐったり弱ったぶっさんの姿が痛々しくて、しかもぶっさんのセリフがいちいち心に刺さって(それは言われているメンバーたち全員が感じているのと同じです)切なくなります。面倒くさい性格のぶっさんだから、みんなもオロオロするばかりで最後の最後で押し引きが読めなくなっちゃって、結果ばいばいが言えないままになってしまった。でも、あんな姿のぶっさんを目の前にしたら、やっぱ普通でなんかいられねぇよ!!

試写を見た帰りの電車の中で、ひとつひとつ場面を思い起こして噛み砕けば砕くほど、ぶっさんを支える周りの人間たちのあふれんばかりの愛情と優しさに、また涙が出まして(笑)。そして、一番心に刺さったのが公助ですね。公助については後で詳しく触れることにしましょう。
ぶっさんは皆の「未練」が募って見事に復活してこの世に現れますが、これは逆に言えば、ぶっさんもまたこの世に未練があったからこそ出てきたんだと思うんです。キャッツの4人は「ばいばい」を言えないままぶっさんが死んでしまったことをいつもどこかで後悔し、ぶっさんがいないことで確実に変わってしまった人間関係を受け入れられずに喪失感を抱いたまま空振りした人生を送っています。映画の最後には皆自分で自分に決着がつけられるようになるんですが、結局それはぶっさんが復活したことで、いつまでもぶっさんに頼って生きてちゃいけないことに改めて自覚した結果です。で、実は一番未練タラタラだったのがぶっさんだったわけです。自分を亡くしてユッケが浮気するんじゃないか、という、いかにもぶっさんらしい心配。おまけに自分は浮気すらできずに死んだという心残り(笑)。そして、自分が死んだらクラスメイトたちは一体どう思うか妙に知りたがったり、残された4人が何をやってるのかも半端じゃなく気になる。でも、復活したことで、ぶっさんも皆にとって自分はもう必要ないんだということを最終的に理解し、やはり自分で自分に決着をつけて消えて行きます。ここが何とも物悲しく美しいんですよね。

ぶっさんに未練があったのはバンビやマスター、アニ、うっちーだけじゃありません。美礼先生もまた同じ思いだったはずです。口ではバンビに「いつまでもこだわってちゃ公平くんが可哀相よ」と言いながらも、ぶっさんが最後に退院した際、うっちーと夜中に海岸でカニを食べてムリをして再び具合が悪くなり、病院に担ぎ込まれた時に肩にしじみの殻をつけてぶっさんに会いに行きます。ドラマの最終話でおなじみのシーンですが、美礼先生としてはあの時と同じようにしじみを肩に乗せていけば、ぶっさんはまた生き返るかもしれないというゲン担ぎだったんだと思うんです。それを証拠に、殻を見つけた公助が美礼先生の肩に手をかけようとすると、そっとその手を振り払います。一見笑える場面の中に深く泣ける感情が隠れています。

でも、復活してきたぶっさんは、なぜか公助にだけは見えません。他の誰にも見えるのに、たったひとりの肉親である公助にだけぶっさんの姿が見えないんです。すごく滑稽に、おもしろ可笑しくぶっさんが見えない様を小日向さんは公助然として飄々と演じています。では、どうして公助にはぶっさんが見えなかったんでしょうか?それは、この作品の登場人物の中で、唯一公助だけがぶっさんに対して未練なんてこれっぽっちも持っていなかったからなんですよね。彼だけは息子、公平に対して何も後悔はなく、やり遂げてたんだと思うんです。だから、キッパリ「ばいばい」が言えてた。それは、彼の最期を看取ったということもありますし、何しろこの息子は何度も死にかけてますからね、親ならばその度に覚悟はしていたでしょう。もう思い残すことなんて何もなかったんです。ちゃんと最期に「お父さん、ありがとう」って言ってもらえたし、自分の気持ちにキッチリ決着がついていたからこそ、仏壇も粗末なものになっているし、死んでから3年なのに4年って間違えちゃうし、極論を言えば、もう公助にとっては公平の死は「終わったこと」なんです。だから、前を向いて生きていくしかない、と言うか生きてるんです。なので、ぶっさんが見えない。この深い父子愛を思うと、いつ何どきでも泣けますよ、マジで(笑)。

だから、もちろん、私にとってもぶっさんを失った悲しみは耐えられないほど辛いのですが、なんかすごくサバサバしたんです。「あー、もう私もキャッツにバイバイ言わなきゃダメなんだなー」って。きっと、この映画を見た全員とは言えないまでも、キャッツファンの皆さんには、やはり私と同じようにどこか踏ん切りがつくというか、一歩前に歩き出せるキッカケになってくれるような仕上がりになっていると思います。この作品を見て湧き上がる感情は、老若男女とか、都会とか田舎とか、国境とかすべて越えて共通だと思いますね。

エンドロールもなかなか泣かせます。雨でロケが中止になった時に撮ったメイキング映像の後で、これまでのシリーズの名場面が順に映し出されるのですが、この場面のチョイスがいちいちイイんですよ。で、足掛け5年の情熱を噴出させてくれるんですね。しかも、このドラマから関わったスタッフの全員がクレジットされているんです。中には亡くなったスタッフもいて、名前だけでなく映像もチラッと出てきたりするので、ファンだけではなく携わった関係各位にとっても感慨深いエンドロールになっています。

劇中、キャッツスタジアムの映像を良く見ると、雨に祟られた撮影の様子が垣間見られます。日本シリーズの時も、南の島で皆がぶっさんを埋めるシーンなどは背景の木々がわさわさ揺れて天候が悪かったことが確認できますが、キャッツスタジアムも雨の日、晴れの日、曇りの日、いろんな状況で何日もかけて撮られていいたので、画的にどうなるんだろう?と気になっていたのですが、それほど気にはなりませんでした。映像処理ってスゲェなって思います。較べて見ようと思ってたのに、そんなところよりも場面を追うのに精一杯で、きっとDVDが出るまでは細部をチェックする余裕がないでしょうね。

今回新たに加わったキャストさんについて、軽くひと言づつコメントしておきますね。
まず、栗山千明ちゃん。(こんなこと言ったら失礼かもしれませんが)適役だったと思います。線の細い女優さんだと思っていたので、ちょっと心配していたんですが、ドスの利いた声が腹から出てるし、目つきに凄みはあるし・・・本当にバッチリサド自衛官の杉本文子を演じてくれていて、確実にキャッツを盛り上げてくれていたと思います。

次にMCUさん。ミニミニオジーという事前ネタバレNGキャラクターとしての登場でしたが、ミュージシャンとは思えないほど芝居に馴染んでいましたね。スティック読みさえ「味」に思えましたから(笑)。彼とのコラボ曲は映画の後半でBGMとして流れますが、劇中使用だと映像も追いたいし曲も聴きたいしで1回見ただけでは消化不良なので、是非CD化して欲しいと思っていたら完成披露会見で「シーサイド・ばいばい」として2006.10.25にリリースが決まりました。こうなったら後はテレビ出演&ライブをひたすら希望!!この、ミニミニオジーは本筋にとって必要だったかと言えば、そうでもないキャラ(笑)ではありますが、この無駄に豪華な感じがクドカンらしさと言うか、キャッツらしさでもあったと思います。

さて、ワールドシリーズと銘打ったからには、当然世界を股に掛けなければならないわけで(笑)、もちろんそれはある意味冒頭の韓国ドラマのシーンやロシアンヘルス「プーチンチン」などで片付けてもいいんですが、更なる仕掛けが橋本じゅんさん率いる外人ゾンビ軍団でした。確かに、なんのこっちゃ?!って展開ではありますが、まぁ、言うたら彼らは今作にとっては必要なキャラクターだったと思うことにしましょう。じゅんさんの片言の日本語がもう強烈に可笑しくて、今では私の物まねのレパートリーになっています。もともと外人顔だから、ロケを見に行ってても何の違和感もなく溶け込んでいて外人さんたちの中に混じっていると見つけるのが難しいくらいでした。この他にも高田純次さんとか、あとレッド吉田さんを始め中川家、神奈月さんと芸人さんも出ています。他にも磯山組の作品好きな人にはたまらないボーナスキャラも(特に自衛隊での訓練シーンは大注目です)。これらゲストも豪華なんだかショボイんだか一見判断しにくいんですが、これまだキャッツらしいですよね。欲を言えば、教頭とか、純やリトル山田には一瞬でもいいから出て欲しかったなぁ〜。

最後に、監督も毎回会見の度に「ファンに支えられている」とコメントしている通り、ワールドシリーズでもまたドラマから引き続いてのネタやセリフが随所に散りばめられ、フィードバックも多数あり(ぶっさんが実はいろんなシーンに関わっていたり)、表裏の展開もそのまま踏襲しています。ただ、1回の表が非常に長くて、後半になってようやく1回裏に展開します。そして「自衛隊 vs キャッツ+ゾンビ」の野球の試合の進行と同時に展開をしていくことになります。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、7回ぐらいでだんだん「あっ試合と一緒に進んでるんだ」と分かる感じかも。今回も爆笑に次ぐ爆笑と、泣きたいのに笑わせられるシーンが多く、お腹や顔の筋肉が鍛えられますよ。
かと言って日本シリーズほどのバカっ騒ぎではないので、もしも木更津でまた「リピーターズナイト」を開催するとしたら、ワールドシリーズではやりにくいんじゃないでしょうかねぇ。皆で泣くってテもありますが。まぁ、日本シリーズはあくまで番外編と考えて、ワールドシリーズでは本来のキャッツのストーリーに酔って頂けるのではないかと思います。でも、逆に日本シリーズのバカっ騒ぎがあったからこそ、ワールドシリーズのしんみりした佇まいが滲みるのかもしれません。うん、だから、結局のところやっぱり全部必要だったんですよ!キャッツにとっては無駄なんてないんです(って言うか、全部がムダと言うか・笑)。
ワールドシリーズを観ていて別の意味で少しだけ悲しかったのは、やはりキャストのみなさんがそれなりに年輪を重ねておりまして、デカいスクリーンでは確実にそれが伝わってしまうことですかね。ぶっさんひとり取ってみても「やっぱり今年がいっぱい、いっぱいだったな」と思います(笑)。作品の歴史を感じるという表現で逃げておきましょうかね。

皆さんはちゃんとぶっさんに「ばいばい」言えましたか?
磯山Pも、クドカンも、金子監督も、すべてのスタッフも、そして岡田准一も、櫻井翔も、岡田義徳も、佐藤隆太も、塚本高史も、きっちりキャッツに「ばいばい」言って前に進んでいます。置いていかれないようにして下さいね。

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