誰かが私にキスをした レビュー

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        ※ ネタバレ注意 ※
 
正直、この映画が決まった時から、個人的には余り期待していなかったので、多くを望まなければ楽しめるかな~?と思っていましたが、ホントに松ケンしか観るところのない映画でした。
手越くんのファンならば、手越くんしか観るところはないでしょう、おそらく


青春映画としても、恋愛映画としてもなんか的が外れた感じがしますし、そもそもインターナショナル・スクールって設定が、もう無理っぽさ全開で。おまけに見た目がとても安っぽちい。
まず、ホマキちゃんもヅラだし、松ケンもヅラだし、ヅラヅラパニックで・・・(笑)、そこがまず映像として見え見えで安っぽい。
カノーザ監督は(アングラながらも)斬新な映像を撮る監督と紹介されていましたし、宣伝でもキャストがそう語っていたので、革新的な映像が見れるのかと思っていたら、余りに普通過ぎて逆に驚きました。「アイフレーム」にも期待していたんですが、特に珍しくはなかった。
劇中後半、ナオミが記憶を失った学校の階段で、ユウジと二人でカメラを投げながら写真を撮るシーン。ナオミがターミネーターとか戦争映画のワンシーンみたいに、両手で銃を撃ちながら前進していくように写真を連射するんですが、ここがね、いかにもアメリカ人っぽくて安っぽいですね。ただ、「アイフレーム」で映し出されるコマ映像は、現場で撮られた写真をそのまま使っているそうなので、臨場感は多少出たように思います。
あと、ひとつ、ホメどころがあるとしたら、キャスト同士ほとんど絡みがなくて、松ケンで言えば、ホマキちゃんと対峙しているシーンは、相手なしで一人で撮影したシーンが多いそうなので、そこはやっぱり役者としても技量の見せどころだし、相手がいないなんて微塵にも思わせなかった撮り方には拍手を送りたいのですが、相手なしに演技する必要性は見い出せないです。
全くの相手なしで撮ってるならまだしも、吹き替えを使って撮ってたみたいなので、だった最初からホマキちゃんと撮ればいいじゃんって。単にスケジュールの問題ならば別ですけど・・・。
英語も松ケンはひと言ふた言しかなかったので安心しましたが(笑)、ホマキちゃんと手越くんはネイティブ・スピーカーに聞こえるように、流れとか抑揚とかすごく意識してて上手でしたね。発音はもうちょいってトコでしたけど、あれだけできたら立派だと思います。
ACE役のアントンはいかにも”アメリカン・スチューデント”然としてて、軽薄な言動や行動がピッタリでしたけど、いつもアバクロ着てるのはダサイかも(笑)。
そうそう、LAのシーンがあったんですが、いかにもマリーナ・デル・ルイみたいな場所でのシーン、あれは本当にLAでロケしたんでしょうか?かなり、微妙な映像処理なんで判断が難しいんです。
松ケンがプライベートで渡米した話は聞いたことがありますが、この映画の撮影でアメリカに行ったって話は聞いていなかったような・・・。もし、館山あたりだったら映像的には大成功??
でも、ここの海岸でのシーン、割と好きなんです、私。
松ケン演じるユウジは躁鬱病を抱えていて、過去にストーカー行為をしたり、2度も自殺未遂をしたりといういわく付きの上級生。多少なりとも精神医学を学んだ私に言わせてみれば、一日のうちに躁と鬱がくるくると入れ替わることはないんだけど・・・と突っ込みたいところではありますが、松ケンの感情の上げ下げの仕方は巧かったですね。わざとらしさがなく自然だったので、特に鬱に入っている時は真に迫るものがありました(友人が鬱病にかかったので、それを思い出してしまいました)。
そして、ホマキちゃんとベッドで百回ぐらいキスするシーンなんですけど、これがスゴク素敵なシーンで、若い女子はこういうシーン観たら憧れちゃうんじゃないかしらん?もちろんオバちゃんでも充分に夢見させて頂きましたが(苦笑)。
でも、松ケンの(百戦錬磨の)キスに反して、ホマキちゃんの外人みたいなBirdyなキスの仕方は、ちょっと無理した感じが出ちゃったたかな~。21才だし、余り場馴れしててもイメージに関わるのかもしれないですね。その、ぎこちないところが返ってカワイイのかもしれないんだけど・・・。
あと、こんなこと書くと語弊があるかもしれないのですが、今回松ケンがジャニーズさんと久しぶりに絡んでつくづく思ったことがありました。手越くんは舞台挨拶でもキラキラ&堂々としてて存在感はあるのですが、スクリーンの中にいるミライと舞台挨拶してる手越祐也とはイコールで結べちゃう。
でも、松ケンはスクリーンの中では明らかにユウジで、舞台挨拶している人は全くの別人。ここが、俳優を生業にしている人と、「アイドル」という、常に自分を前に押し出す仕事をしてる人との違いなのかな~って思いました。手越くんがダメだって言ってるワケじゃないんです。ジャニーズを知り尽くしている私の見方にも問題があるのかもしれないけど・・・。
それにしても、「誰かが私にキスをした」って、ミライのことだったのね。
もう一度見に行きたいか?と聞かれたら、迷うことなく「行く」と答えます。
もちろん、DVDも絶対に買います。
映画の内容とか、そんなもんはどーでもいいんです。
母性本能をくすぐられる情緒不安定なユウジが観たいから。
そして、そのユウジを松ケンが演じているから。
他に理由はないし、彼を起用した制作者の意図もまさにココにあるのではないでしょうか。