映画「おと・な・り」レビュー

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随分前に見たんですが、すっかり記憶の底から消えてしまい(笑)、きのう「食わず嫌い」で松ケンと勝負した麻生久美子さんを見て、「おと・な・り」の感想を書いていないことを思いだしてしまいました。
そのぐらい、私にとってはどうでもいい作品でしたね~。
全国41館上映ということは、全国の岡田准一ファンがちゃんと見られるように、という配慮なだけのような気がします。
岡田くん以外に見どころはないし、かと言って飛びっきりカッコイイかと言われれば、ちょっとわいには判断つきません(苦笑)。
谷村美月ちゃんがあんなに出まくるなんて知らなかったので、すごいうっとおしかった。そして、池内くんがあんなに出てこないなんて知らなかったんで、これまたガックリでした。でも、岡田くんと池内くんの2ショットは、ちょっと濃過ぎて怖かった(笑)。
ってね、そういう上っ面しか見るとこがないんですよ、この映画。
BGMが全然なかったり、「音」にこだわっているのも良く分かるし、展開もそれなりにひと捻りあったりもするし(でも、私は想定内の捻りでしたけど)、オシャレにしたい気も理解できるんですがね~。すべて今さら感が拭えず。
うっちー(岡田義徳くん)のクダリは全部いらない。
そんなんしなくても七緒の揺れる感情は描けたはず。花を犠牲にしてる、とか何とかって、いかにも胸に刺さるように仕向けたセリフがありますが、「ハァ~??」って感じだしね~、全てが上滑り・・・。
例えば、もっと若いキャスティングで、若いお客さんをターゲットにした映画だったら、こうしたアンニュイな作品ファンもいるかもしれませんが、映画の設定と同じアラサー世代の男女って、もう現実が分かってるから「あり得ない」って感情の方が先に来てしまうのではないかと。
だったら、まだ花男の方が”キャ~”って夢見れちゃう気がするんですけど。あざとくリアルに見せようとして、滑ってしまった・・・かな。
悔しいことに、岡田くんの演技力は確実に上がってるんですよ。
「東京タワー」の時の、まとわりつくような重い芸風がなくなっていて、ライト&ドライに演じています。それでいて、ちょっとした感情の動きの表現力が富んでいて、非常に自然に思えましたね。
「自然」って言っても、岡田くんの「素」に近いってことではないですけどね。実際の彼は明らかに聡とは違うので(笑)。
熊澤監督って”こだわる”ポイントが、今ひとつ見ている側とズレているような気がします。「親指さがし」の時はすごく良く撮れていたのにな~、残念です。
岡田くんの評価が下がる映画にならないといいんですが・・・。
自社作品だから傷はつかないと思いますが、もったいない気がします。